ファックユー日常

 もうすぐこの部屋から越す。あんまり心残りはない。もう6年ほど住んだ。この街には大学生のころからずっといる。もうそろそろ去りどきだ。新しい部屋からはバスの車庫が見下ろせる。夜は行き来するヘッドライトを眺める。家賃は予算ぎりぎりだが気に入っている。ずっと通り沿いの部屋に住みたかったからうれしい。いまの部屋をはやく片付けないといけない。いまの部屋は、出るとすぐに桜の木がある。次の部屋は、ベランダのすぐ下に桜の木がある。かわらず花見には困らなさそうである。昨年の下旬からずっと忙しくてようやく余裕が出てきたと思ったら仕事相手がつまらないことで駄々をこねはじめた。お前の言っていることは非常にくだらないのだと言ってやりたい。そっちは記念品づくりのつもりかもしれないがこっちは商品をつくっているのだ。それもわからないで、というかこっちはちゃんと説明してるのだから、一度くらいちゃんと、大して長くもないんだから、メールを読み返してもらえないだろうか。いくら思いがこもった写真でも解像度が足りなければどうしようもないのだ。下流のことを考えろ。その画像をなんとかするために誰が何の作業を何時間しなければならないのか考えたことはあるのか。面倒なことばかり起こっていやになるが引っ越しの準備もしなければならない。楽しみだからがんばろう。仕事も荷造りもまだまだやることがいっぱいある。来年度からは仕事で無理をするのはやめて、ゆっくり生活したい。若くて体力のあるうちにいろんなところへ行きたい。仕事がすべてではないと唱えつつ、それ以外のことがほとんどできていないのにうんざりする。こんなことやってる場合じゃないという焦りが私を追い詰める。家にいても会社にいてもどこにいても。新しい部屋からはバスがたくさん見える。バスに乗っていろんなところに行きたい。新しい部屋は6階にあって、転落したらほぼ確実に死ぬだろう。